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レーザー測量と写真測量

ICT法面工に限らず、i-Constructionにおいて3次元の点群データを取得する必要があり、それは3次元計測(測量)によって取得します。
3次元計測は主にレーザーで点群を取るか、写真測量で写真を点群に変換するかの2通りに分けられます。

レーザー測量で最も代表的なものは、地上型レーザースキャナー(TLS)を用いた計測です。
最近ではスマートフォンに搭載されているLiDARも登場して、スマートフォンでも点群が取得できるようになってきています。
さらに地上型と並んで代表格であるのが、UAVレーザーです。ドローンにレーザーが搭載されたLiDARで計測します。

これらのレーザースキャナーは、レーザーが対象物に反射して戻ってくるまでの時間や角度で距離を求めていて、計測した現場で対象物の点群の生データは確認することができます。

ICT法面工で主に使用されるのは、地上型レーザースキャナーUAVレーザーです。
地上型レーザースキャナーは、法面に限らず一般土木や土工でも良く使われます。ノンプリのように、1点ずつ座標を計測するのではなく、面を一気にスキャンできるので、3次元座標を持った面を短時間で取得できるのがメリットです。また、写真を点群化する必要がないため、点群のデータ解析に掛かる手間が少ないのも特徴です。スキャナーの機種にはよりますが、法面で使うようなレーザースキャナーでは通常のTS測量で使う基準点さえあれば、法面上の対空標識も必要ありません。起工測量および出来形管理に使う点群データを速やかに取得することが可能です。

TLSが何度も据え変えたり、オーバーハングや斜面の起伏や障害物をよけて計測しようと思うと斜面を持って歩く必要があるのに対して、UAVレーザーは空から法面を一気に計測することが可能です。TLSのように固定して計測をしていない分、点群の精度はTLSには劣ります。
しかし、UAVレーザーの一番のメリットは、樹木があっても地表面の形状を拾えることです。
さらに、施工範囲を少し超えてUAVを飛ばせば、施工範囲の周辺地形まで樹木がある状況でとらえることができます。法面工事に携わっている方なら、法面の3次元点群データが取得できるのは伐採後というのが日常なはずです。UAVレーザーなら、路線の起工測量と同じタイミングで地表面を測量することが可能です。設計者にとっては、設計段階で地表面の点群を取得することができます。

植生法面UAVレーザー

UAVレーザー斜面地表面

もちろん、法枠の出来形管理に使うような精度で点群を取得するのはまだ難しいですが、起工測量段階や施工範囲周辺を素早くとらえて谷筋や水の影響を考えたりできるのは、UAVレーザーの大きなメリットです。

続いて写真測量です。
写真測量は、地上や空中から撮影された写真を使用する測量方法です。法面工事では計測対象が高さと勾配のある斜面であるため、ICT法面工で写真測量といえばほぼ、UAV写真測量です。
UAV写真測量では、写真に写らないものは点群化できないので、樹木があると測量できません。しかし、UAVレーザーよりも精度の高い点群をつくれます。そのため、実際の法面工事の現場では、地上型レーザースキャナーとUAV写真測量を併用して双方の死角を補ったり、作業効率を最適化します。

UAV_ICT_norimen

UAVで撮影した写真を点群にするためには、三角測量の原理で連続した写真に写っている同じ特徴点の3次元位置を求めます。特徴点は色や凹凸で判断されるため、凹凸がなく、色が一色に見えるような場所では、カメラの角度を変えたり、飛行高度を変えたりして特徴点が抽出できるようにフライトプランを工夫します。

写真測量では、複数の写真に同一の特徴点が写っているほど計測精度が高まるため、同一コース内のラップ率を80%以上で設定し、写真を何百枚も撮影します。標準的なラップ率については国土交通省国土地理院「UAVを用いた公共測量マニュアル(案)平成29年3月改正」に記載されています。

UAV写真測量は、測量時に複数の対空標識(標定点・検証点)を法面に設置する手間が必要になります。また、大量の写真を使って点群データを作成するので、データ解析もレーザー測量に比べると作業量が多くなります。
それでも、ドローンで斜面全体を計測して、法枠工の出来形管理に使える非常に高精度な点群データを作成できることがメリットであるので、法面工事で3次元点群データを作成する際には、UAV写真測量は不可欠です。

以上のように、3次元計測方法(レーザー測量・写真測量)は、それぞれにメリット・デメリットがあります。現場条件や必要条件に応じて取捨選択する必要があります。
現状ひとつ言えるのは、出来形管理に使える3次元点群データを高密度で取得するには、UAV写真測量は必須です。

それぞれの特徴を理解し、現場と用途に合わせた手法を選択することが大切です。

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