国土交通省国土地理院(平成 29 年 3 月改正)『UAV を用いた公共測量マニュアル(案)』を参照すると、UAV写真測量を行う際は、計測対象範囲に対空標識を設置する必要があります。
対空標識とは、同マニュアル第2編「数値地形図作成」の第3章「標定点の設置」の要旨(本文6ページ)にあるように、UAV測量のために設置された標定点の視認性を高める標識です。
標定点・検証点とは、測量範囲に設置する3次元座標を持った点であり、UAV写真測量において基準点のように機能する点です。
標定点の枚数や設置間隔は、第3編「三次元点群作成」【標定点及び検証点の配置】第53条(本文23ページ)にあるように、必要な計測精度と撮影範囲の広さによって目安が提示されています。
以下が、同マニュアルに示されている標準的な標定点・検証点の設置レイアウトです。
図からわかる通り、標定点には主に外部標定点と内部標定点の2種類があります。
外部標定点はその名の通り、撮影範囲を囲むように外側に設置される点です。
外部標定点を設置する際の注意点として、撮影範囲と撮影範囲外の境界に近すぎる場所に設置した場合、標定点の映る写真枚数が減り、結果として精度が落ちてしまうことが挙げられます。
内部標定点とは、外部標定点で囲んだ範囲の内部に設置される点です。
内部標定点は、最低でも1点以上必要であり、外部標定点と適切な距離を保っている必要があります。
内部標定点が1点の場合は、計測範囲の中心にあることが望ましいです。計測範囲中心に内部標定点がない場合、中心に一点作成することで計測精度が向上します(紙の真ん中を画鋲で刺してzが浮き上がらないようにするイメージ)。
検証点とは標定点とは目的が異なり、撮影したデータの精度を検証するための点です。
標定点総数の半数以上が標準とされ、撮影範囲内に均等に配置されることが望ましいとされます。
ちなみに、標定点と検証点の3次元座標は、トータルステーション(TS)などで測量の前後どちらかに取得します。
データ解析時に、標定点の座標を用いて位置を合わせながら写真から点群を作成し、作成した点群とTSで取得した検証点座標を比較して点群精度をデータ上で検証します。
そのうえで、検証点間距離を点群上と現場でテープなどで計測します。それを監督職員や検査職員に確認してもらうことで、点群と実測に差異がないと証明し、点群で出来形管理などを行います。