ドローン(UAV)には、GPS機とGNSS機があります。
履行報告などの現場全景写真をとったり、写真測量を始めたばかりだったり、平面的な現場の写真測量がメインだとGPS機なのかGNSS機なのかは意識されないと思います。しかし、我々のように法面を精度よく測量しようと思うと、GPS機かGNSS機なのかは大事なポイントになります。
なぜなら、GPS機とGNSS機では取得できる衛星の数が異なるほか、絶対的な位置情報の精度にも差があるからです。
GPS機だと、UAVの位置情報にはメートル級の誤差が生じます。GNSS機では拾える衛星の数が多くなるので、GPS機より誤差は小さくなります。
また、地上に基準局(D-RTK2)を設置して、GNSS・UAV・基準局の三角形で位置情報をリアルタイムでやり取りしながら測量する手法をRTK(Real Time Kinematic)と呼びます。
起工測量などで基準局を設置する座標を出しておくことで、移動局(UAV)の座標を地上の基準局から補正することができます。それを測量中にリアルタイムで行うので、リアルタイムキネマティックと名付けられています。
画像出典:Matrice300RTK-Built Tough.Works smart-DJI、D-RTK2-DJI
D-RTK2などの基準局は、相対測位と搬送波測位によって瞬時に計算を行い、UAV(移動局)の座標値を補正しています。
ちなみに、ネットワーク型RTK-GNSSでは地上の基準局が不要な代わりに、国土地理院の電子基準点を用います。ネットワーク型RTKには携帯電波などを契約してデータのやり取りを行う必要があります。
画像出典:Matrice300RTK-Built Tough.Works smart-DJI、基準点・測地観測データ|国土地理院
法枠工の出来形などのICT法面工に求められる計測精度は非常に高いため、GPS機でも工夫すれば精度を満たすことはできますが、どうしても機械的な限界があります。GPS機で試行錯誤してカメラアングルやオフセットを気にして時間をかけていた精度が、RTK-GNSS機なら難しいことを考えなくても比較的簡単に出すことができます。